国際協力機構(JICA)の事業を通じ途上国の人材育成や社会発展に貢献した個人を顕彰する「第12回JICA理事長表彰」の国際協力感謝賞に愛媛大名誉教授の若松伸司(70)、「愛媛県青年海外協力隊を育てる会」運営委員の松広武雄(90)、同会前特別顧問の武村剛吉(92)の3氏が選ばれ、13日に東京都新宿区で表彰を受けた。
 JICAによると、若松さんは大気環境学会長を務め、1988年から途上国の大気汚染対策に従事。汚染が深刻なメキシコでは測定や研究、人材育成を担う「環境研究研修センター」設立(95年)に関わり、長年にわたり同国の政策立案に貢献してきた。
 松広さんは90年の会設立当初から、帰国した隊員が県内で就職できるよう多くの企業を訪問。海外での経験を教育現場に還元してもらおうと県教育委員会に働き掛け、2007年に全国で初めて教員採用試験で協力隊経験が加点される制度の実現につなげた。
 武村さんは初代事務局長として会の発足に尽力。企業訪問や教育機関での世界の料理教室開催などで理解促進に取り組み、隊員の進路相談にも尽力した。
 イラン・テヘランの大気汚染対策を支援中の若松さんは「海外の事例を知ることは国内の対策を考える上でも役立つ」と語り、松広さんは「現職教員の派遣活動もさらに進めたい」と意欲を示した。