黄色は地域団結の旗印―。過疎、高齢化が進む愛媛県愛南町西海半島の樽見地区では毎朝、ほとんどの家に黄色い旗が立つ。旗は「元気だよ」のサインで、旗が出ていない家には隣近所から「大丈夫?」の声が掛かる。当初、安否確認を目的に始まった活動は、今では地区住民の絆づくりに欠かせない取り組みになっている。
 きっかけは6年前に地区で起きた住民の孤独死。地区の作業に出てこないことを不審に思った知人が訪ねるまで、亡くなっていることが分からなかったという。
 樽見地区の人口は現在約90人で、多くが高齢者世帯。足腰が弱り引きこもりがちになったり、新聞の購読をやめたりするなど安否確認が難しい世帯が増える中、黄色い旗は「同じことが起こったらいかん」と、清水辰夫区長(75)が映画「幸福の黄色いハンカチ」を参考に思いついた。