道後温泉本館(愛媛県松山市道後湯之町)の保存修復工事で、松山市は25日、予備検討段階で約11年とした工期を、耐震設計の見直しにより「数年短縮できる」との見通しを示した。工事方針などを検討する25日の市道後温泉活性化計画審議会(会長・柏谷増男愛媛大名誉教授)で明らかにした。2月の次回審議会で、具体的な工法や工期を検討する。
 市によると、保存修復工事は2005年度策定の予備検討で、工事中も入浴可能な部分開館方式で行うとし、工期約11年(完全閉館の場合約8年)、総事業費約20億円としていた。
 今回示した耐震設計案では必要耐震性能を、大地震でも倒壊しない「安全確保水準」に設定した。神の湯棟と南棟の鉄筋コンクリート造の浴室について、市は14年度からの詳細調査で耐震強度を確認。予備検討で計画していた引家や解体などの大規模工事が不要と判断し、鉄骨の柱やはりを新設する補強工事に変更する。両棟に近接する木造棟を接して耐震性を高め、耐震壁の設置数を減らして工期を短縮する。壁や天井などは現在の雰囲気を損なわないよう注意しながら柱や耐震壁を追加する。
 本館の保存修復工事は、17年の愛媛国体終了以降の工事着手を予定している。