被災時でも電子カルテ復元 暗号化・分割で保存
電子カルテの情報を分散してバックアップし、大規模災害で病院が被災しても閲覧ができる技術を、愛媛大大学院医学系研究科の木村映善准教授(医療情報学)らの研究チームが13日、京都大医学部付属病院(京都市)で発表した。代表研究者の木村准教授は「データ量の多い大学病院クラスで成功すれば、中小施設データのバックアップの引き受けも視野に入れる」と話した。
研究チームは愛媛大と大阪大、京都大など計5大学と民間企業で構成。総務省の助成で2012年度から研究を続けてきた。
木村准教授によると、被災後も病院で医療を続けるには患者の診療情報が欠かせないが、データ量が膨大な電子カルテをバックアップし閲覧するには高度な安全性や保管コストが課題となっていた。
新たな技術では、カルテの情報を暗号化・分割して、複数の大学病院間で相互に保存。分割された情報だけでは意味をなさないため個人情報の漏えいの恐れがないほか、分割された情報は重複部分があることから全てそろわなくても全体を復元可能で、預かる側の責任も軽減するという。