紫雲丸沈没事故から60年 各地で追悼行事
香川県高松市沖で愛媛県西条市旦之上の庄内小学校の児童ら30人を含む168人が亡くなった旧国鉄宇高連絡船「紫雲丸」の沈没事故から11日で60年となるのを前に、事故から生還した同校の卒業生ら16人が10日、母校を訪れ、校内の慰霊碑「みたまの塔」に献花し犠牲になった旧友と保護者の冥福を祈った。
事故から生還した卒業生らは、犠牲者30人の名前が刻まれた慰霊碑に花束を手向けた。11年ぶりに同窓会も開いた。当時、庄内小の6年生だった元高校教諭の黒河稔さん(71)=西条市丹原町徳能=は、事故を直接知る人の多くが亡くなり、紫雲丸沈没事故は歴史の一ページの中にとじ込められようとしていると感じている。「事故の経験者として悲惨さを語り継ぐことが残された人生の使命。友人が亡くなった悲しさを忘れないように事故を後世に伝え、悲惨な出来事が繰り返されないようにしていきたい」と語った。
西条市旦之上の庄内小学校でも11日、恒例の「命を考える集会」が開かれた。児童や保護者ら約150人が歌や詩などを通してあらためて命の重みを感じていた。