福島発760キロ長野発520キロ、2匹同時 アサギマダラはるばる今治に
福島、長野両県を飛び立ったチョウ「アサギマダラ」2匹が愛媛県今治市宅間の畑に同時に来ていたことが20日までに分かった。専門家によると500キロ以上移動した2匹が東予で同時に見つかるのは珍しく、地元の愛好家らを喜ばせている。
アサギマダラは秋に日本列島を南下し、沖縄や台湾への飛来例もある。同市蒼社町1丁目の自営業土釜清光さん(65)が3年前に市内の愛好家から同種が好むフジバカマをもらい、自分の畑に植えたところ、12日に飛来を初確認。以来毎日10匹ほどが訪れ、16日午前11時ごろ、羽に日付や場所が記された2匹を見つけた。
アサギマダラを研究する愛媛県総合科学博物館の大西剛学芸員は、2匹は約760キロ離れた福島県北塩原村を8月13日に、約520キロ離れた長野県大町市を9月25日にそれぞれ飛び立ったと解析。例年南予への飛来は多いが「愛好家が栽培するフジバカマが増えている今治にも、岡山、広島から瀬戸内しまなみ海道沿いに入ってきているのでは」とみている。
捕獲した福島県からの1匹に「エヒメ」とマーキングして好天の18日に再び空へ放した土釜さんは「どこまで旅するか楽しみ」と次の行き先に思いをはせていた。