神崎今昔、学んで体験も 松前・高石さんの「塾」
「古里・神崎の昔と今を、子供も大人も知ってほしい」。そんな思いから愛媛県の松前町神崎地区の男性が2009年度に立ち上げた「かんざき塾」。毎年度、約8回の講座があり、受講者は地域の歴史や文化、年中行事などを体験もしながら学び、郷土愛を育んでいる。本年度は受講対象者を町全域に広げ、新たな展開をみせる。
神崎は松前町南東部にあり、人口約1500人。塾主宰は元県立高校教諭の高石勤さん(76)で、現職時代は県内各地に勤務し退職後、生まれ育った神崎が生活の中心になってみて、地元のことをあまり知らないことに気付いた。「子供たちはもっと知らないだろう。将来を託す世代に神崎のことを伝えたい」と住民主体での開塾につながった。
近年の受講者数は子供から高齢者まで50人程度。講座テーマは神崎の小字(こあざ)、泉、郷土料理などで、時には町外に足を運ぶ。講師は古老や外部の専門家ら。年中行事では亥(い)の子、どんど焼きを取り上げ、子供に人気だ。
本年度の受講登録は61人(神崎以外16人)。今後に向け高石さんは子供やその両親など、より若い層の参加が増えることを願う。受講対象を神崎居住者以外にも広げたことから「神崎にこだわってきたテーマを町全域に拡大し、珍味の歴史、(昭和初期の)東レ誘致の経緯などを取り上げられないか」。塾の充実・発展へ構想は尽きない。