夏目漱石が1895(明治28)年、愛媛県松山に赴任した際、最初に上陸した三津浜港周辺を散策するイベントが2日あった。漱石文学を顕彰する「松山坊っちゃん会」(武内哲志会長)が赴任120年を記念して企画し、約30人が松山時代の漱石の足跡をたどった。
 一行は、松山市三津1丁目の港近くに立つ「きせんのりば」の標柱を見学。久保田回漕(かいそう)店が1871年ごろに設置したもので、漱石も目にしたと考えられている。当時の港は遠浅の海岸が広がっていたため、小説「坊っちゃん」同様、汽船は沖合に停泊し、回漕店が小船で客を運んでいた。
 案内役の松山観光ボランティアガイド小宮政雄さん(79)は明治期の港の写真を示しながら、「干潮時には腰あたりまで漬かる程度になり、小船に乗らず、人力車で汽船に向かう人もいた。久保田回漕店の店主は松山で最初に人力車を走らせた」などと解説した。