日本人にとって春の代名詞となっているソメイヨシノ。今年の開花は昨年より3日遅かったが、愛媛県の松山地方気象台が約60年前から観測している開花日の統計によると、現在の平年値(3月25日)は20年前に比べて4日早くなっている。専門家は「20年でこれだけ早まるのは生態系にとって大きなこと」と環境の変動の大きさを指摘している。
 気象台などによると、松山の開花日は1953年から記録し、道後公園内の標本木を観測している。最も早いのは2010年の3月14日。最も遅いのは1957年の4月6日で23日間の幅がある。気象台が発表していた20年前の平年値は3月29日だった。さらに長期的な変化でみると、年によって変動はあるが、50年あたり6・8日の割合で早くなっている。
 背景には、松山が全国平均と比べても年平均気温の上昇傾向が大きいことがある。全国平均では100年当たり1.14度(1890~2012年)の割合で上昇しているのに対し、松山は約1.74度(同)となっている。
 県内の気候に詳しい、えひめ季節ノートを執筆した愛媛大学名誉教授の深石一夫さん(78)は「温暖化による気温上昇や、都市化によるヒートアイランド現象の影響を受けていることが原因ではないか。今の気温の上昇具合から考えても、近い将来に松山が今の高知県と同じような生物環境になる可能性がある」と分析している。