昭和初期、四阪島の絹絵 西条で発見
旧別子銅山(愛媛県新居浜市)の製錬所があった四阪島(今治市)の、昭和初期とみられる姿を描いた絹絵が31日までに、西条市で見つかった。1929(昭和4)年に完成したペテルゼン式硫酸工場などの煙害対策施設が描かれており、新居浜市別子銅山記念図書館の坪井利一郎専門員(65)は「煙害問題克服にまい進中の様子がリアルにうかがえる。単なる風景画ではなく、煙害問題に立ち向かっている歴史的な意義を後世に伝えるために書き残したのだろう」と話している。
絹絵は縦約34センチ、横約129センチ。写真を見た県美術館の梶岡秀一専門学芸員(44)によると、署名や印章、日本画の特長である筆線の力強さや色彩の華やかさを生かした写実的な画風などから、西条市出身の日本画家・武田耕雪(1889~1973年)が手掛けたとみられる。