新居浜市が育鵬社初採択 中学教科書
四国中央、新居浜、西条3市教育委員会は12日、2016年度から公立中学校で使用する教科書をそれぞれ採択した。新居浜の歴史は初めて「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社版。四国中央は歴史、公民とも前回同様、育鵬社版とした。
新居浜市教委(三木由紀子委員長、5人)は定例会で市内全12中学校で使用する教科書を公開審議し、全会一致で歴史に育鵬社版を初めて採択した。
市民ら19人が傍聴。教育委員は学識経験者や小中学校長、PTA代表ら計10人で組織する「教科用図書採択委員会」の総括や、市民から寄せられた請願や意見などを基に協議した。
歴史は採択委が育鵬社版を1位としており、教育委員は「反戦や平和の精神を生徒に教えやすい」「やや視点が一方的な面もあるが、人物の話題が豊富で興味深く読める」「命の大切さを学び、古里に自信を持つことができる」などと育鵬社版を評価し、挙手による多数決で決めた。公民は日本文教出版を選んだ。
三木教育委員長は「さまざまな意見が出された中で、総合的な判断をした採択委の結果を尊重した。教育委員としてもすべての教科書を十分比較検討し熟慮した」と話した。
市教委によると、市内12校の生徒数は3365人(5月1日現在)。
傍聴したえひめ教科書裁判を支える会の坂田進さん(59)は「事実を見極める子どもの目を曇らせる教科書が選ばれた。採択委が育鵬社版を推した経緯を調べたい」と憤った。