戦争、芸術から考えて 久万美術館作品展
芸術にかけた青春期を戦争に奪われた愛媛の作家4人の作品展「戦後を拓く 高階重紀・三輪田俊助・田中坦三・森堯茂」が、久万高原町菅生の町立久万美術館で開かれている。9月6日まで。
大正時代に生まれた4人は芸術を志し、東京で自らの表現を求め始めたころ、戦争により活動の場を離れることを余儀なくされた。同展では、自由を奪われながらも戦後の美術を切り開いた姿を見つめ、戦争の悲惨さや表現の力を浮かび上がらせようと、4人の絵画や彫刻約30点を展示。
県内出身の三輪田、田中、森は復員、終戦後にそれぞれ地元へ戻り、高階は疎開で妻の郷里・今治へ。最先端だったシュールレアリスム運動に身を投じながら応召された三輪田の油彩や学徒兵だった森の彫刻など戦後の作品には力強さがみなぎる。「自由にものを作ることができる喜びがあふれているのだろう」と神内有理学芸員。帰郷後、旺盛な活動を続けた田中は初期の素描からストーンマークなどの代表作、晩年までの作品をそろえ、多彩な表現がうかがえる。