「ありがとう」―。愛媛県選手団が昨年の倍以上となる121個のメダルを獲得した第17回全国障害者スポーツ大会「愛顔(えがお)つなぐえひめ大会」が30日、感謝の言葉とともに閉幕した。県総合運動公園ニンジニアスタジアム(松山市上野町)で行われた閉会式で愛媛県選手団は最後までおもてなしの心を尽くし、最高の笑顔が会場を埋め尽くした。

 台風が過ぎ去り、青空が広がったスタジアムには観客ら約1万4千人が集まり、選手たちが登場すると自然と拍手が湧き起こった。

 大会旗が大会会長の中村時広知事から来年の開催地福井県の西川一誠知事に引き継がれ、3日間の熱戦を見守った炬火(きょか)が納火された。歌手の大塚愛さんのライブもあり、最後は愛媛県選手団が退場ゲートまで並び、選手とハイタッチしたり、手を振ったりして見送った。スタンドもみきゃんの図柄や「SEE YOU」の言葉を人文字で表現した。選手団ごとに一斉に「ありがとう」の言葉を送った。

 閉会式後、県選手団の解団式では仙波隆三団長が「一致団結し本当に立派な成績」とたたえ「明日からはそれぞれの舞台で活躍することを願う」と話した。中村知事は「勝者はさらなる高みを目指し、敗者は次こそはと力を出せる。これからの人生で困難を乗り越える力にしてほしい」と呼び掛けた。

 選手団は拳を突き上げて健闘をたたえあった。陸上のジャベリックスローで金メダルを獲得した佐伯幸男選手(47)=愛アスリートクラブ=は「(競技順が早く)良い結果を出せば選手団に勢いがつくと思った。出場できない人の分も勝たないといけないという使命感もあった」と語り「ひとまず勝ててほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 大会後の会見では中村知事が来年の成功を祈ると、西川知事は「大会旗を引き継ぐことで、愛媛大会の成功と愛媛の『愛』を引き継ぎたい」と応じた。両知事は固く握手を交わし、愛媛で生まれた笑顔を福井へとつなげた。