愛媛県埋蔵文化財センターは29日、今治市新谷の新谷森ノ前遺跡で、流路のり面から弥生時代後期後半(約1800年前)の丸太列が県内で初めて出土したと発表した。木材を引き上げる際のスロープとして使ったと考えられる。県内初の武器形木製品や新たに複数の竜絵画土器も見つかった。センターは「総合的にみて、弥生時代中期から後期にかけて今治平野の拠点的集落の一つだったと考えられる」と話している。
 丸太列は南北方向へ長さ約2.1メートル、角度約14度のスロープ状に9本のヒノキ材が並ぶ。丸太は長さ約1.2メートル、幅約0.2メートル、表面は丸いままだが、接地面を平らに加工し安定性を持たせている。センターによると、全国的には丸太の数は2、3本の事例が多く、9本は珍しい。
 丸太列のそばには幅約6.5メートル、深さ約1.2メートルの貯木場とみられる空間がある。木材を水中に2、3年漬けると割れにくくなり、防虫効果があるという。流路を下ると、建築部材を再利用して作られたせきとみられる遺構も残る。これらの状況から、丸太列は水中から木材を引き上げる際に用いられた可能性があるという。
 現地説明会は31日午後1時から(小雨決行)。