愛媛県今治市関前岡村の岡村島で11日、毎年恒例の県無形民俗文化財「弓祈とう」があり、12人の射手が五穀豊穣(ほうじょう)を願い姫子島神社で矢を放った。祭りの顔ともなったベテラン射手の米国人男性も「里帰り」し、久々の再会で島は熱気に包まれた。
 弓祈とうは、江戸時代初期から現在の形式で続くとされる。裃(かみしも)姿の男性が「大関」「射太郎」の2組に分かれ、約15メートル先の「鬼」と書かれた的へ交互に弓を引く。
 10~50代の男性が直径約1.8メートルからわずか数センチまでの大小さまざまな的を狙って矢を放ち、見事命中すると観客が射手を担ぎ上げて盛り上がった。
 射手の一人、米ニューヨーク在住のフィリップ・シネルさん(41)は、1998年に外国語指導助手(ALT)として島に赴任し、99年に地元の誘いで射手として初参加。3年の任期を終え帰国した後も「島の人たちとの絆を大切にしたい。弓祈とうは大切な思い出」と毎年島を訪れ、10回以上参加している。今年も慣れた所作で次々と的を射抜いた。