愛媛県西条市出身の彫刻家伊藤五百亀(いおき)氏(1918~92年)を顕彰する五百亀記念館(同市明屋敷)で11日、開館1周年の記念作品展が始まった。伊藤氏に彫刻を教えた彫刻家吉田三郎氏(1889~1962年)との師弟展で、伊藤氏の親族によると2人の作品を集めた師弟展は全国で初めて。9月28日まで。
 伊藤氏は日展で連続して特選になるなど、県内に多くの作品を残した。記念館によると、金沢市生まれの吉田氏は第1回帝展で特選になった。多摩帝国美術学校(現多摩美術大)の彫刻科教授時代、同校の学生だった伊藤氏に彫刻の手法などを教えた。
 伊藤氏は学校中退後も吉田氏の家に住み込んで制作に励み、ともに上野公園(東京)の野口英世像を造ったり、吉田氏の作品を伊藤氏が修繕したりするなど結びつきは強かったという。
 師弟展では、吉田氏が作ったブロンズ像や伊藤氏の作品など24点を展示。コートを着た女性の「パリーの女」(1932年)や老人がロバに乗っている「満州風景」(33年)などの吉田氏の線と面を巧みに使った像や、伊藤氏が造った伊曽乃神社(西条市中野)の神門前に構える迫力たっぷりのこま犬の原型などが並ぶ。