小川未明文学大賞 新居浜の宮﨑さん受賞
日本のアンデルセンと称される童話作家小川未明(1882~1961年)にちなんだ第23回小川未明文学賞(新潟県上越市主催)の大賞に愛媛県新居浜市東雲町2丁目、無職宮﨑貞夫さん(83)の「ななこ姉ちゃんのふるさと」が選ばれた。新居浜を舞台に少年少女が社会に葛藤を抱きながらも古里に思いを寄せて生きる青春小説で、最年長の受賞となった。
プロを含む711点の応募があり、作家の落合恵子さん、ねじめ正一さんら6人が審査した。物語は、小学6年生で母のいない翔太と、翔太が姉のように慕う6歳上のななこが主人公。大阪で働くななこは毎年、新居浜太鼓祭りに帰郷するが、過去に犯した万引で周囲は冷たい。恋心を抱く翔太は、ななこを支えようと奮闘する。
審査委員は「漂流感を抱いた同士の人物設定がいい」「結末は翔太とななこが物語世界を駆け抜けていくようで爽快」と高評価。ねじめさんは「自分が生きている間にこれだけは書き残しておきたいという強い意志さえ感じる」とたたえた。