奔流の時代、美に生きて しまなみゆかり画家紹介
大正から昭和にかけて二科展で活躍した画家の作品を集めた企画展「しまなみが結ぶ美の架け橋」が愛媛県今治市玉川町大野の玉川近代美術館で開かれており、時代の荒波にもまれながら自己表現を追求した画家たちの足跡をたどることができる。14日まで。
二科賞を受賞するも、32歳の若さで亡くなり、戦火で作品が散逸した悲運の画家、吉田卓(広島県福山市出身、1897~1929年)の紹介がメーン。このほか、明るい色彩と大胆なタッチで風景や静物画を描いた今治市出身の野間仁根(1901~79年)などの作品が並ぶ。
海をモチーフにした吉田の「磯」は、繊細な色使いできらめく波や岩陰を描く一方、荒々しいタッチで岩肌を表現。野間の二科賞受賞作「ぜ ふうるむうん」は、天空を軽やかに駆ける馬や横たわる女性が描かれ、幻想的な中にも力強さが感じられる。