四国初、腹腔鏡で広汎子宮全摘手術 愛媛大病院
愛媛大医学部付属病院の産婦人科は7日までに、子宮頸がん治療で腹腔(ふくくう)鏡を使った広汎子宮全摘手術を四国で初めて行ったと発表した。執刀した松原圭一、藤岡徹両准教授は「腹腔鏡は開腹手術に比べて回復が早く、患者の術後の生活の質を上げられる」と話しており、県内の50代の女性患者は6月5日の手術から約2週間で退院したという。
両准教授によると、広汎子宮全摘手術は子宮とともに周囲の結合組織など広い範囲を摘出する手術で、初期の子宮頸がんの治療として広く行われている。主な治療法だった開腹手術は、傷口が約20センチの長さになって回復に時間がかかるほか、出血や合併症のリスクが問題となっていた。
今回実施した腹腔鏡手術では、開腹手術より手術時間は長くなるものの、傷口が1センチ程度で5カ所ほどと小さく、術後の痛みが少ない利点がある。カメラで小さな血管を拡大して確認でき、腸閉塞(へいそく)や腸管損傷が開腹手術より少ない。女性は7時間45分の手術翌日に自力で歩き、トイレに行けたという。
ただ、腹腔鏡は器具を動かせる角度が限られるため難易度が高く、大量出血のときの対応が難しいというリスクがある。昨年、愛媛大医学部の手術手技研修センターで献体を用いて6回の研修を重ね「安全性を確保しながら予測通りに手術ができた」とした。