商店街で60年余、老舗文具店閉店へ 松山
愛媛県松山市の銀天街で60年以上にわたり文房具や画材を販売していた「福井善商店」(松山市湊町4丁目)が31日、店を閉じる。法人向けの営業は続けるが、豊富な品ぞろえで学生や美術愛好家らに親しまれた老舗が商店街から姿を消す。
創業は1946(昭和21)年。戦時中に軍の資材調達係を務めていた初代社長の福井善行氏(故人)が、知り合いの卸業者の勧めで始めた。当初はバラックで営業していたが、50年に現在の場所で店舗を構えた。当時、粗悪品が多く出回っていたが、一流メーカーの商品を卸してもらい、官庁を取引先にできたという。
店内には文房具や絵の具、額など、さまざまな色や大きさ、形がそろう。方眼用紙やトレーシングペーパーは「文具店の誇り」としてB0サイズまでそろえた。
最盛期は昭和60年代。新学期には店舗へ客が入りきらず、購入者が多い複数組のノートだけを店先で販売した。