津波から在校生を守りたい―。南海トラフ巨大地震による津波で浸水の恐れがある愛媛県愛南町岩水の東海小学校の6年生全9人がこのほど、卒業記念として学校グラウンドに車いすでも避難できるスロープを完成させた。
 学校の目の前は深浦漁港で、県の想定では最大10メートルの津波が地震発生から38分後に押し寄せるとされる。グラウンドから最短コースで避難場所がある裏山に向かうには、高さ90センチ分の階段を上る必要があり、これまでは教員が特別支援学級に在籍する車いすの児童2人を抱きかかえ、裏山へ駆け上がっていた。
 子どもたちだけでも避難できるようにしたいと中田非斗志校長(60)がスロープ造りを発案し、車いすの同級生がいる6年生が「一緒に造りたい」と志願して実現した。
 基本的な設計は「工事が趣味」という中田校長が担当。6年生は総合学習の時間や休み時間に基礎部分の石と土を運んだり、木枠を取り付けたりと慣れない作業に奮闘した。必要な生コンクリートの量を計算するなど算数の実践も交えながら、約1週間かけて完成させた。