儒学者近藤篤山 故郷の四国中央で企画展 今に息づく教え
現在の愛媛県四国中央市土居地域出身で小松藩の儒学者近藤篤山(1766~1846年)の教えや人々への影響をたどる企画展「伊予聖人『近藤篤山』と時代のニーズ―庶民の学びの視点から」が、同市土居町入野の暁雨館で開かれている。23日まで。
篤山生誕250周年記念事業。川之江の私塾の教え子への別れの詩や、小松藩主を激励する詩など39点を展示し、礼節を尽くし「伊予聖人」とたたえられた背景を解説する。
経済が発展した江戸後期、実用的な学びから教養、倫理へ知的欲求が広がっていた庶民のニーズにも篤山は応えた。一例が、女子に身の処し方を示す「四如(しじょ)の喩(たとえ)」。その版木とともに、川之江高等女学校(現川之江高校)時代に教わり今も暗記している卒業生のエピソードも紹介する。
師である同市出身の儒学者尾藤二洲(1747~1813年)の顕彰活動など、教えが現代に息づいていることを伝えている。
企画した市教育委員会の学芸員近藤弘樹さん(36)は「庶民とのつながりを切り口にした。新たな篤山像を感じてもらいたい」と話している。