弘法大師の伝説が残る愛媛県松山市久谷町の巨石「網掛け石」の隣にこのほど、大師像がお目見えした。四国霊場46番札所浄瑠璃寺(同市浄瑠璃町)まで3キロの位置にあり、久万高原町方面から難所の三坂峠を越えてきたお遍路さんの疲れを優しいほほ笑みで癒やしている。
 四国遍路を108回巡った大先達の三原秋利さん(74)=同市窪野町=が、遍路仲間らの協力を得て建立。高さ約1・5メートルの石像で、かさをかぶり右手には立派な錫杖(しゃくじょう)を持っている。
 遍路案内や自宅でのお接待などを長年続けてきた三原さんは「いつかお大師さんの像を建てたい」と願ってきた。四国遍路開創1200年に合わせ「伝説の石のそばで、苦労して下りてきた後、安らいでもらうのにちょうどいい」と考え、この地を選んだ。
 網掛け石は表面に無数の網目模様がある巨石。通行の妨げとなっていたので弘法大師らが大きな網を使って運んでいた際、石が道に転げ落ちたと伝わる。