2016年度からの4年間、公立中学校で使用する教科書の採択審議が11日、愛媛県内で始まり、松山市教育委員会は歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社版を初めて採択した。公民は前回と同じ日本文教出版だった。今月中に県教委とすべての市町教委で審議する予定。
 審議終了後、松山市教委の金本房夫教育委員長は「学校現場や調査部会の意見も参考に、松山の子どもにふさわしい教科書を採択できた」と話した。市教委によると全29市立中学校の生徒数は約1万2千人(5月1日時点)で、16年度の新1年生から使用する。
 11日は委員5人が9教科15分野の教科書を公開で審議。歴史は委員2人が8社のうち育鵬社版と東京書籍版を推薦し、育鵬社版については「改正教育基本法の趣旨に沿い、伝統と文化、人物などを興味がわくよう、わかりやすく広く取り上げている」と理由を説明。東京書籍を推した委員は「一連の年表で、どの時代を学んでいるか瞬時に分かる。視点が明確でバランスがいい」と述べた。
 歴史は無記名投票の採決により4対1で育鵬社版が選ばれ、公民は1人が育鵬社版を推薦し、4対1で日本文教出版に決まった。