上下部マントル組成同じ、理論計算で解明 愛媛大
愛媛大の地球深部ダイナミクス研究センター(松山市文京町、GRC)の研究グループは16日、直接岩石を採取することが不可能で、地球全体積の55%を占める下部マントルの構成物質が、上部マントルと同じだったことを、高精度の理論計算で解明したと発表した。研究に携わった土屋卓久教授は「化学組成が同じ上下部マントルが一体となって運動(全層対流)していることが示唆された」としている。16日付の英科学誌ネイチャージオサイエンス電子版に掲載される。
土屋教授によると、下部マントルは深さ約660~2890キロの領域で、2種類の主要鉱物で構成されていることは分かっていたが、圧力や温度が非常に高く、鉱物の割合が解明されていなかった。
研究では、原子の基礎的情報と量子力学に基づく第一原理電子状態計算という手法で、下部マントルを構成する鉱物に伝わる地震波速度と密度の計算に成功。実際の下部マントルの地震波速度と密度を比較したところ、2種類の主要鉱物体積比8対2の「パイロライト・モデル」が誤差1%以内で一致し、下部マントルの化学組成も上部と同じとの結果を導いた。