愛媛県今治市で2004年、バイクに乗った80代の男性が、小学5年の男児が蹴ったサッカーボールを避けて転んだ事故がもとで死亡したとして、遺族が両親に計約5千万円の損害賠償を求めていた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は9日、男児の過失を認めて両親に賠償を命じた一、二審判決を破棄し、「サッカーの練習は危険行為ではなく、損害はたまたまで、両親は監督義務を怠っていない」と判示して遺族側の請求を棄却した。親の監督義務は子どもの行為の性質などで個別に判断する新たな基準を示した。
 最高裁は、直接的な監視下にない子の行動に対する親の監督責任の範囲について「通常は危険とみられない行為での損害は、具体的に予見可能などの特別な事情がない限り、監督義務を尽くしていなかったとすべきではない」と判断した。