首長や消防のトップらが災害対応の知識を習得する「県市町長防災危機管理ラボ」が17日、愛媛県松山市であった。東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市の戸羽太市長は講演で「想定より厳しい事態を意識し(対策を)役所全体や住民と話すことが大事」と訴えた。
 県や市町から約90人が出席。戸羽市長は被害について「岩手県で最大で、震災関連死や行方不明を含め1800人を超える犠牲があった」と説明した。
 岩手県の想定に基づき、避難場所の指定といった対策を行っていたが、実際の津波は約15メートルに達したとし「甘く考えていた。今ある情報以上の災害が起きた際に対応できるか。緊急事態ではマニュアル通りがベストか判断を迫られることになる」と強調した。
 また市職員の4人に1人以上が犠牲になり「公務員が逃げるという選択肢を持てない現実がある。市民を助けようとした若手や中堅が亡くなった。知恵や信頼がある職員がいなければ、復旧復興に手が付けられない」などと訴えた。