愛媛県上島町の築110年の古民家を活用しようと、県古民家再生協会の関係者と河原デザイン・アート専門学校(松山市)の学生が13日、同町弓削下弓削の田坂邸を訪れ、建物の歴史や構造、現状などを調べた。
 田坂邸は1906(明治39)年、弓削海員学校(現弓削商船高等専門学校)の設立に尽力した田坂初太郎氏の弟で、外航船の船長などを務めた為松氏が建設。約1250平方メートルの敷地にある母屋は木造2階建てで、屋久杉の天井板やケヤキの一枚板をつないだ廊下など伝統建築と華やかさが随所に見られる。
 海員学校の官舎や学生寮としても使われた後、為松氏のいとこに引き継がれたが、現在は敷地内に住む親戚が管理している。別の親戚の所有者(54)=松山市=が売却の意向を固め今夏、県古民家再生協会の武知美穂代表理事(51)に相談。協会は河原デザイン・アート専門学校と、購入者に向けた活用法を検討することにした。
 13日は、インテリア・建築デザイン科の1、2年生と武知代表理事ら約60人が訪問。7班に分かれて所有者らから説明を受け、見て回った。所有者は古民家を生かした活用法を望んでおり、男子学生(20)は「建物そのものを生かしつつ、近代的な要素を取り入れることを考えたい」と話した。
 学生は今後、活用法や改修案を検討し、伊予市である11月の一般公開でプレゼンテーションする予定。