県、くい点検記録なし 松山・由良港道路沈下
愛媛県松山市由良町(興居島)の由良港で臨港道路がくいの腐食により最大約50センチ沈下した問題は12日で発生から1週間。県は2013年度に詳細点検し維持管理計画を策定していたが、構造上、最重要と位置付けられるくいを点検した記録はない。10日に現地調査した愛媛大大学院理工学研究科の森伸一郎准教授(維持管理工学)は「大破しており人身事故が起きてもおかしくなかった」と分析する。
県によると、5日に沈下した臨港道路(長さ約12.5メートル、幅約14メートル)はフェリーが着岸する浮桟橋と県道の間にあり、海底に長さ約18メートルの鉄製のくいを9本打って支えている。翌6日、現地を緊急調査した県が潮の引いた状態で確認した結果、くいと臨港道路の接続部分でくいが変形したり腐食したりしていた。土木関係者は「こうした構造の場合、くいは上部を支える脚。点検すべき項目だ」と指摘する。
県は12日、国土交通省の技術的支援を受け由良港を合同で再調査し今後の対応などを検討する。