養育困難な親から新生児を匿名で受け入れる慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」運営に長く携わった田尻由貴子さん(65)=熊本市=による講演会が10日、愛媛県松山市桑原3丁目の松山東雲女子大・短期大であり、約100人が命の尊厳や性教育のあり方などについて考えた。
 田尻さんは同病院の看護部長、相談役を務め、今年3月に退職。生涯学習支援事務所「スタディライフ熊本」の特別顧問に就任した。望まない妊娠や子育てに悩む女性のために24時間の電話窓口を開設し、相談に応じている。
 講演では、国内初となった赤ちゃんポスト創立までの経緯を説明。未婚や生活困窮などの理由から8年間で112人を預かった利用実態を示し、海外の先進事例にも触れた。病院への妊娠相談は全国から9000件以上あり、その2割強が中高生も含めた20歳未満だったと指摘した。