郷土学授業で山城発見 鬼北・日吉中生お手柄
愛媛県鬼北町下鍵山の日吉中学校の生徒がこのほど、郷土学授業の一環で、町内44カ所目となる「山城」を発見した。町教育委員会は「子どもたちが文化財を発見するのは極めて異例」とし、今後、町文化財としての登録準備を進める。
山城は戦国時代、敵の侵略を防ぐため、山の斜面を削ったり土を盛ったりするなど自然を活用して工夫を凝らした城。県教委によると、県内では約1200カ所確認されている。うち約560カ所は戦国時代に戦場となった南予にあり、農民の避難所として造られたケースが多いという。
日吉中と日吉小は2013年度、独自のカリキュラムとして郷土学を新設。地域の歴史や文化を学び、古里への愛着を育む狙い。中学では学年を越えて数人の班を編成し、テーマを絞った調査を重ね、12月ごろに成果を発表する「1人1研究」に挑戦している。
山城をテーマにしているのは、3年の高木正和君(15)と平野佑飛君(14)、1年の上山泰輝君(13)の3人。町教委生涯教育課の中川博之主任からアドバイスを受ける中で、未確認の山城があることを知り「自分たちで見つけたい」と調査を希望した。
生徒らは斜面を登り始め約1時間後、山の尾根を遮断するように掘り敵の攻撃を防ぐ「堀切」を確認。山頂では、斜面を平らにして兵が待機する場所「曲輪(くるわ)」も発見した。平野君は「見つかるかどうか分からなかったので、うれしかった」。上山君も「とても暑く大変だったが、感動した」と興奮した様子。
3人は28日にも未確認の山城を調査するほか、15年度の研究結果をまとめ11月ごろ発表する予定。