「第30回松山喜多流能」が12日、愛媛県松山市堀之内の市民会館であり、約200人が幽玄の世界を堪能した。
 愛媛喜多会などが毎年開いている。能の奥深さに触れ、楽しんで見てもらおうと、喜多流能楽師の金子敬一郎さん(46)が上演前に演目を解説。能「木賊(とくさ)」について、「生き別れになったわが子を思う老父の情念を表現する舞が見どころ」と紹介した。
 笛や鼓の音が雰囲気を盛り上げる中、金子さんの父で愛媛喜多会代表の匡一さん(74)が「木賊尉(じょう)」と呼ばれる老父の面を着け、情念ほとばしる能演を披露した。
 人間国宝の友枝昭世さんによる仕舞「草紙洗小町(そうしあらいこまち)」などもあった。