愛媛県松山市堀之内の県美術館で個展を開催している書家金沢翔子さん(30)=東京都=の母泰子さん(71)による記念講演会が11日夜、市民会館であり、30年間の親子の歩みを語った。
 ダウン症の翔子さんは5歳で泰子さんに師事し書道を始めた。今では全国各地で個展を開くなど活躍するが、泰子さんは「情報もなかった30年前、障害児を授かるのはとても苦しいことだった」と振り返った。
 小学校では普通学級に通い楽しく過ごしたが、4年生で特別支援学級のある学校へ転校を求められた。頑張っても認められないつらさに学校を離れ、半年もの間、2人で朝から晩まで取り組んだのが「般若心経」の作品。「難しい文字の羅列だが、翔子は泣きながらもマイナスな言葉は言わない。あの時があったから今がある。闇が深ければ深いほど、大きな光が用意されていると思う」と力を込めた。