「X年後」制作の伊東氏(南海放送)講演 記者クラブ賞受賞で
太平洋核実験の漁船被ばく問題を長年追い続け、日本記者クラブ賞特別賞を贈られた愛媛県の南海放送「X年後」制作チームの伊東英朗ディレクター(54)が3日夜、東京都内で記念講演し、取材過程や問題への思いを語った。米国と英国による核実験被害の実態解明へ、伊東氏らは被ばく者の証言などを2004年から収集。番組や映画で継続的に報道してきた姿勢が評価された。
伊東氏は、1954年のビキニ水爆実験で乗組員23人が被ばくし、うち1人が死亡した「第五福竜丸」以外にも、被害に遭ったマグロ漁船が多数いたことを知り、取材を始めたと説明。関係者の多くが当時口を閉ざしていた理由を「マグロ漁師は、被ばくしていると話したら(風評被害で)生活が成り立たなくなると思っていた」と話した。
昨年はビキニ水爆実験から60年という節目の年で報道で大きく取り上げられたが「記念日として扱ってほしくない。被ばく問題は過去の話ではなく、今も続いている」と力を込めた。