愛媛県が新たな養殖魚種として研究を進める「スマ」の養殖実証実験に向けた初の種苗出荷が2日、宇和島市下波の県水産研究センターであり、陸上水槽で育てた稚魚計3800匹を委託先の愛南町の2養殖業者に届けた。
 スマは、日本以南の太平洋沿岸に生息するマグロやカツオの仲間で、トロに似た味が特徴。クロマグロの代替魚になるとみて、県と愛媛大が共同で養殖技術の開発に取り組んでいる。
 5月13日に県水研センターで親魚から早期採卵に成功し、約7万匹のふ化仔魚(しぎょ)を得た。イサキなどの仔魚を餌に与え、海面いけすで飼育可能な稚魚(日齢20日、体長約4センチ)にまで育てた。
 出荷は2日午前に始まり、職員が陸上水槽から丁寧に稚魚をすくってバケツに収容し、酸欠にならないよう急いで活魚車の水槽に運び入れる作業を繰り返した。午後に養殖業者に引き渡した。