歌舞伎俳優市川猿之助さんが主演を務める「しまなみ歌舞伎」が30日夜、愛媛県今治市大三島町宮浦の大山祇神社であった。雨の中、猿之助さんは樹齢2600年と伝わるクスノキを背にした特設舞台で華麗に舞い、約1100人の観客を魅了した。公演は31日もある。
 愛媛、広島両県による博覧会「瀬戸内しまのわ2014」の特別企画として昨年開催され、2回目。市などでつくる実行委員会主催(愛媛新聞社共催)。
 演目の素踊り「静と知盛」は、名曲「船弁慶」から静御前と平知盛の二役を抜き出した舞踊。猿之助さんは源義経との別れを嘆く静御前と、壇の浦の戦いで敗れ義経を恨む知盛を情感豊かに踊り分けた。
 舞踊「双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」では、破戒僧・法界坊と野分姫の霊が合体したお組を熱演。法界坊と野分姫を交互に演じる難役で、法界坊の本性を現す場面では情念のこもった迫真の演技を見せ、観客は大きな拍手を送った。