今年3月に愛媛県今治市役所を定年退職した田窪真二さん(60)=同市拝志=がこのほど、自身が立ち上げた映画鑑賞会の活動や映画評論をまとめた「シネマディクトの夜」(520ページ、1944円)を自費出版した。映画文化浸透へ奮闘した日々の記録を通じて、1980~90年代の今治の雰囲気もうかがえる内容になっている。
 田窪さんは高校2年から映画館に通い始めた。スクリーンで見た感激が忘れられず、シネマディクト(映画中毒者)に。82年、27歳の時に「田舎では上映されない作品を楽しもう」と、友人ら7人で「今治名画鑑賞会かげろう座」を結成した。
 97年に活動を終えるまでに、市中央住民センターなどで邦画26本、洋画18本を自主上映。ほぼ毎回、作品の解説などを書いた機関誌を発行した。「費用の工面や観客動員など苦労も多かったが、充実した日々だった」と懐かしむ。
 「シネマディクトの夜」は県内の書店などで購入できる。