膝の変形性関節症などの治療で使われる人工関節を独自開発しようと、愛媛大医学部は、耐久性試験などを行う「人工関節開発支援室」を設置した。2月下旬から試験を始めており、愛媛大大学院医学系研究科の三浦裕正教授によると、学内に設備を整え、医師が開発に直接関わるのは全国でも珍しいという。
 膝の変形性関節症は高齢者に多く、人工関節に換える手術が増えている。三浦教授によると、人工関節の国産シェアは10%に満たず、欧米からの輸入品は小柄な日本の高齢者に合わない場合があり、正座などで膝を深く曲げる機能に課題がある。
 医学部は2014年1月、付属病院に設置した人工関節センター(センター長・三浦教授)で、手術や病気の原因解明などの研究や、日本人に適した独自の人工関節の開発に取り組んでいる。
 支援室では、開発に必要な国際規格を満たす4種類の試験機を導入し、工学系のエンジニア2人が試験を担当。人工関節をセットするとねじれや回転を加えた複雑な動きで人の歩行を再現し、約2カ月で500万回の動作を繰り返して摩耗の程度を調べている。