16世紀末に朝鮮半島から大洲へ連行された儒学者・姜ハン(1567~1618年、ハンはさんずいに抗の右側)の縁で、韓国・全羅南道の李洛淵(イ・ナギョン)知事ら道職員5人が31日、愛媛県大洲市を訪れ、ゆかりの地を巡った。
 姜ハンは現在の全羅南道霊光郡出身。1597年、豊臣秀吉による「慶長の役」の際、当時大洲を治めていた藤堂高虎軍にとらわれ、大洲に一時幽閉された。京都に移り、後に「日本朱子学の祖」と言われた藤原惺窩(せいか)らに儒学を教えるなど、多大な影響を残し、1600年に帰国した。
 李知事は姜ハンと同じ霊光郡出身で、韓国の新聞社「東亜日報」で日本特派員を経験した後に政界に転じ、2004年、国会議員として大洲市を訪れた。29、30両日に東京で開かれた日韓知事会議を機に再来訪した。
 一行は、大洲市大洲の市民会館前にある姜ハンの顕彰碑や大洲城を見学。李知事は、姜ハンについて「日本への憎しみがあっただろう中で、学者として文化交流の役割を十分果たしており誇りに思う。今の世代への教訓だ」と話した。姜ハンを研究する村上恒夫さん(80)=大洲市新谷=も同行し、「姜ハンは日本史の重要人物。もっと顕彰されるべきだ」と語った。