ため池の昆虫、シニアが守る 愛南・保存会
絶滅が心配される昆虫などが確認されている愛媛県愛南町広見のため池をビオトープ(生物の生息空間)として守っていこうと近くの住民が保存会活動を続けている。会員11人は全員65歳以上。「貴重な自然を残したい」と願いつつ、あまり気張らず、作業後の懇親会も楽しみに、共に汗を流している。
池は町の記録で「樫釣井」、地元では「樫鶴居(かしづるい)」と呼ばれている。堤の長さは約30メートルで、かつて水田のかんがい用水として使われ、周辺は子どもたちの格好の遊び場だったが、近年は雑草が水面(みなも)や堤を覆う状態が続いていた。
町環境審議会委員を務める保存会長の高田義隆さん(67)らが「生物の多様性を学ぶ場にしたい」と「樫鶴居保存会」を2012年に発足。高田さんの調査で、池では環境省レッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている「コガタノゲンゴロウ」や県の絶滅危惧Ⅰ類の「コフキヒメイトトンボ」などが確認されている。