愛媛県美術会名誉会員の故野村政良さん(1913~98年)が日本画の普及に努め、現在も愛好家が盛んに活動している久万高原町に、中学生のニューフェースが登場し、話題となっている。久万中学校2年の大政風さん(14)は今年から日本画を始め、初作品「カンボジアの農村」が秋の県展で入選。町内の先輩に刺激を与えている。
 大政さんは小学5年で水彩画を始め、中学からは油彩画にも取り組む大の絵画好き。今春、祖母が描いた日本画を見たのをきっかけに新たな挑戦を決意。野村さんが生前に設立し、半世紀以上活動する地元の日本画グループ「ささゆり会」会長の伊東一朗さん(81)方で週1回、4時間の制作を始めた。
 黙々と描き続ける姿は、伊東さんが「見ていて感動するぐらい集中している」と驚くほど。専用の絵の具を重ね塗りする日本画の技法を徐々に習得しながら、半年ほどかけ、縦横1メートル近い大作を仕上げた。題材は、2年ほど前に旅行で訪れたカンボジアの農村。淡い色調で景観の素朴さを表現し、周囲の植物や地面の凹凸なども丁寧に描き込んだ。