愛媛県松山市古川南2丁目の無職嘉地利夫さん(71)が、京都市伏見区にある醍醐寺の五重塔を模したミニチュアを完成させた。柱や梁(はり)、瓦など数千点に及ぶ部品を全て手作業で制作し、30分の1スケールで国宝を精緻に再現しており、近所の耳目を集めている。
 10年前から五重塔の制作に着手した。3回作ったが、出来栄えに納得がいかず、いずれも自ら壊した。「今度こそ絶対に(満足のいくものを)作る」と思い定め、心身を清めるため東温市の白猪(しらい)の滝で水ごり。2012年8月、4作目に着手した。
 長い日は1日9時間も作業に没頭。今年6月、高さ約1.9メートル、重さ約40キロの五重塔が完成した。「できたときは何ともいえず気持ちが晴れ晴れした」。玄関先に安置すると、近所の人たちが「すごいのができたね」と目を見張った。
 嘉地さんは「今のような道具もない時代に、技術を結集して建物を造った昔の人は本当にすごい」と感慨深げ。次はさらに複雑な日光東照宮の陽明門に挑戦する予定で、いずれ仏像も加え個展を開きたいと意気込んでいる。