昭和に活躍した愛媛出身の文化人が持っていた自由な創作精神を現代に再び― 久万高原町、久万美術館、松山市、愛媛新聞社の4者は18日、松山市出身の映画監督伊丹万作や俳人中村草田男らが手がけた同人誌「朱欒(しゅらん)」を後世に継承する連携文化事業「座朱欒プロジェクト」に取り組むと発表した。
 久万美術館によると、朱欒は万作や草田男、画家重松鶴之助らが旧制松山中学時代に手掛けた「楽天」の後継誌。東京で1925~26年、卒業生ら8~9人が手作りして仲間内で回覧した。絵画、戯曲、俳句、詩などをそれぞれが持ち寄って載せ、巻末で作品を批評し合い切磋琢磨(せっさたくま)した。全9冊、計約120作品を掲載している。
 草田男の三女・中村弓子さんが2015年11月、朱欒を久万美術館に寄贈したことをきっかけに、企画が持ち上がった。コンセプトは「集団としての青春」「松山の知的土壌のさらなる醸成」。原稿用紙に手書きされた朱欒を、原文そのままに読みやすく製本して出版する翻刻事業を軸に展開する。