消えゆく「わらぐろ」 宇和の住民グループ休止へ 材料難や高齢化で負担大きく
米どころ宇和の風物詩「わらぐろ」がまた減る―。愛媛県西予市宇和町西山田地区で稲わらを積み上げたわらぐろを制作し、冬のライトアップなどを展開してきた「宇和わらぐろの会」がこのほど、わら確保の難しさや中心メンバーの高齢化を理由に活動休止を決めた。区切りとなるわらぐろの写真展を盛り上げようと、5日に2基を仕上げた。
わらぐろは、飼料や資材として使うわらを収穫後の水田に備蓄する農家の知恵。農業の機械化などにより減少していたが、伝統を守り愛媛のわらぐろを知ってもらおうと同会が2002年に発足、同年の「全国藁(わら)こづみ大会」で日本一に輝いた。04年の地元での「わらぐろミュージアム全国大会」以降は毎年、10基前後を年末年始にライトアップ。県内初の日本ジオパークに市全域が認定されるのにも一役買った。
一方、腕をふるってきた会長の上甲清さん(80)と岡本保さん(80)は年齢的に多数のわらぐろを制作するのが年々難しくなった。近年は制作のため束に加工する労力やコストの負担も大きくなっていた。
5日は午後から6人が写真展の会場に飾る2基を作った。高さ3.5メートルの柱を中心に、上甲さんと岡本さんがわらを踏み固めながら手際よく積み上げ完成させた。
写真展は8日午前9時~午後4時、地元の山田薬師花まつりに合わせ参道沿いの水田で開かれる。雨天時はJA東宇和山田支所跡で。