疑惑、利用、そして真実を欺く。
ドイツの港湾都市ハンブルク。諜報機関でテロ対策チームを率いる練達のスパイ、ギュンター・バッハマンは、密入国したひとりの若者に目をつける。彼の名前はイッサといい、イスラム過激派として国際指名手配されていた。

イッサは人権団体の若手弁護士の女性、アナベル・リヒターを介して、銀行家のトミー・ブルーと接触。彼の経営する銀行に、イッサの目的とする秘密口座が存在しているらしい。一方、CIAの介入も得たドイツの諜報界はイッサを逮捕しようと迫っていた。しかしバッハマンはイッサをあえて泳がせ、彼を利用することでテロリストへの資金支援に関わる“ある大物”を狙おうとしていた―。

そしてアナベルは、自分の呪われた過去と決別しようとしているイッサを命がけで救おうとする。また彼女に惹かれるブルーも、バッハマンのチームと共に闇の中に巻き込まれていくのだった……。