【映画】バルフィ!人生に唄えば
本作の主人公バルフィは、生まれつき、耳が聞こえず、話ができないが、豊かな感情を、眼差しと身ぶり・手ぶりだけで完璧に伝える心優しい青年。好きになった相手に感情をストレートに表現し、人生に恋に、正直に生きるその姿に、冒頭から誰しもが虜になることは間違いないだろう。本作は、そんなバルフィと恋に落ちた二人の女性の物語が軸となり、出会いから最期の別れまでの壮大な人生の物語を描き上げた。
冨も地位もある男性と結婚し、何不自由なく暮らしていたシュルティ。家族の愛情を受けずに育った自閉症のジルミル。そんな二人の女性が、バルフィと出会い、まるで初恋の時のような強い感情で互いに惹かれあうが、時に、「言葉」の壁や、身分の差など、様々な困難が彼らの前に立ちはだかる。
でも、そんな障害を吹き飛ばすかのように、バルフィは、人生において本当に大切なことを教えてくれる。それは、ただひとつ、「相手を想う“心”さえあれば、互いの瞳を通して愛を語り合うことができる」ということ。言葉に頼らず、“心”を通わせ、大きな愛に満ちた人生を送る彼らの姿は、観る者の心を大きく揺さぶり、温かな涙を誘うだろう。